イントネーション 目的のあるデザインは、美しい。
大それた副題をつけましたが、私は柴田作品を全て観たわけではないので、『星影の人』の演出についてと諸々雑感を書いていきます。
今回でこのシリーズ最終回。
どうか最後までお付き合いください。
柴田作品を演出する人で多く登板しているのは中村暁先生かと思われます。
で、再演の度にオールドファンから「中村先生じゃアカン」と思われています。(中村先生ごめんなさい。でも、多く聞かれる声なのです)
私自身は柴田作品の再演を生で観劇したことがないので、「へ〜そうなんだ」くらいしか感じていなかったのですが、今回『星影の人』を観劇して先輩方の言わんとするもどかしさがわかった気がします。
まず、根本の演出方針が違う。
それが如実にわかるのは、パンフレットでした。
パンフレットには作者の柴田先生と演出の中村先生の言葉がそれぞれ書かれていまして、
柴田先生は「沖田の行動範囲の中で触れ合ってもおかしくない女性で、環境の異なる三人の女性を配してみた。沖田総司はこのような想像上の恋物語の面に標準を合わせて描くに当たっては、彼が所属拠り所とした新撰組を描くことになるし、新撰組を描くとすれば幕末の動乱や世相とは無縁ではありえない。このドラマは様々なフィクションを交えて、沖田総司の短い青春を哀しく謳おうするものである。」
と、書いているのに対して中村先生は、
「『星影の人』での総司と芸妓玉勇の恋は、総司に生きていることの喜びと切なさを与えます。『星影の人』では、そんな総司の爽やかな青春の姿を描いていきます。早霧せいなの、沖田総司の剣士ぶりをお楽しみください。」
と、書いています。
作者である柴田先生は沖田の青春を短く哀しいと書き、演出家の中村先生は爽やかと書きました。
作者は剣士ぶりを描こうとは書いていないわけです。
動乱期の一人の青年を描こうとしているだけで、そこに付随している新選組という組織や幕末の志士たちは主軸ではありません。
対して演出家は早霧せいなさんの剣士ぶりを楽しんで欲しいということは、新選組という題材に重きを置いています。
しかも、玉勇との恋は生きる喜びと切なさを与えると述べているのにすぐあとの文章で爽やかな青春と述べています。
どっち描きたいんだよ。←しまった、ツッコミ入れてしまった
つまり、作者の意図を演出家が理解していないわけです。
作者と演出家が違う方向を向いていれば、作品も違うものになりますね。
続いて、台詞。
柴田作品の魅力の一つに言葉があると思います。
現代ファンには古臭いと言われる、文学作品並の美しい言葉たちです。
昨年のマグノリアコンサートで初めて喋る柴田先生を拝見しましたが、いろんな言葉が出てくる出てくる。
知識量からくる言葉の量なのです。
加えて芝居に関するこだわり。
それらが柴田作品の中で台詞として集約されていると思います。
なので、台詞を言うだけでも尋常ではないこだわりがあります。
「セリフを言う時のポイントは5つある。強弱、高低、緩急、間、音色。その他にイントネーション、エロキューション、発音、発声、相手の芝居との関連性、それらを考えてみること。」
全てに気を配らないと台詞一つ言えないような発言です。
このこだわりは、初演の『星影の人』でも十分発揮されています。
④の記事でも書きましたが、初演は2人の声のテンションが同じでした。
青年の汀沖田に対応して弾む声を出した高宮玉勇。
それが作品に幸せだけれどやがてやってくる別れ、青春の切なさという想像を膨らませ、作品を高めていたと思います。
対して再再演の2人は声のテンションに差異があった。
一方が出来ていても駄目なのです。
相手がいることだから、2人とも同じじゃないと観客は苦しいのです。
また、台詞回しも初演の方が舞台らしい自然な流れで進んでいました。
演出家が執拗に指導した結果なのでしょう。
(もしくはジュンコさん以下雪組とピーコさんの芝居に関するレベルが現代より高かったのかもしれません)
再再演は間が死んでいるところが多く見受けられました。
なんだか後味が悪かったんですね。
みゆさんに玉勇という役はニンではなかったのだと私は思いました。
芝居巧者と呼び声高いみゆさんですが、さすがのみゆさんも玉勇はニンじゃなければ難しかったのでしょう。
可愛い顔だから舞妓に見える。でも、役は芸妓だから大人びた感じを出さなくてはならない。だから声のトーンで芸妓の貫禄を出した。しかしそうなると青年の早霧沖田に釣り合わない。
ざっとこんな感じでしょうか。
本人たちの資質もあろうかと思いますが、演出が脚本を読み込み、作者のこだわりを感じられていないから起こる現象なのだろうと思いました。
演出家が違うということは、基本的に作・演出が同じ人が多いタカラヅカの場合は自分の脚本じゃないものを演出することです。
気持ちの入りようも違うはずだし、近しい人ではないと意図するものを捉えることは難しいことだと素人でもわかります。
そういう意味で博多座の再再演は初演と比べることはおろか芝居として訴えるものが私にはわかりませんでした。
パンフレットを読んで、単純に剣士のトップスターを見せたかっただけなのかと思いました。
それもまた、初演を愛する私が努めて冷静に観た感想です。
早霧せいなさんというタカラジェンヌが沖田総司に合うだろう、あるいは次作の『星逢一夜』や『るろうに剣心』の布石で演目が選ばれたのでは?
今思うと博多座の演目チョイスはそんな気がします。
それが良いか悪いかは、各人の気持ちです。
少なくとも私はそんな狙いならば『星影の人』を選んで欲しくなかったです。
ニンではない役の人があまりにも多すぎた。
初演を観たからとか、そういうことではなく。
役がからだに入っている役者が少なかったように見受けられました。
主役本位の演目に立ち向かうほど、当時の雪組は組力がなかったのです。
ルパンや剣心などのエンタメ芝居ならどうにでも誤魔化せますが、『星影の人』は芝居です。
芝居が出来ない組にさせることではなかったと私は思います。
蛇足ですが。
今の月組なら、と。思うわけです。
5月の『長崎しぐれ坂』を観て思いましたけどね。
沖田総司が珠城りょうさんか、と言われたらそうではないけれど。(出来なくはないが、青年性は少し失われるかもしれません)
組力で言うと、同じ状況の月組と雪組を比べたら断然月組の方がニンです。
ま、作品本位よりもトップスター本位のタカラヅカですから、まず無理な上演でしょう。
私は作品本位なので、つくづく当局とは合いません(笑)
柴田作品は毎年のように上演されています。
作品の骨格がしっかりしていてオールドファンやタカラジェンヌに人気の柴田作品を上演すれば興行的にはそれなりの成績を収められるという当局の姿勢はわかります。
演者であるタカラジェンヌは良い作品、憧れた作品に出たいという気持ちがあることと思います。
若いファンにとっては情報がわからない新作よりはネットで検索すれば内容のわかる再演の方がとっつきやすいでしょう。
一方で柴田先生は時代にそぐわないと言う人もいるし、初演の感動をお持ちのオールドファンにとっては複雑な気持ちになる人もいます。
『花のオランダ坂』や『霧深きエルベのほとり』は1970年代ファンの再演希望が多かったそうですが、今となれば誰もこの二作品の再演を話題にしません。
どんなに名作でも時が経てば時代に取り残される作品になることは、残念ですが明白な事実でしょう。
出来る演者がいなくなったことや演出家がいないことも上演されない理由であると思います。
その時代の空気感と作家の本質を理解しないと、良い作品も駄作になるのは今回でよくよくわかりました。(ま、今回は駄作というか凡作って感じかな)
柴田作品を演出するということは、以上を踏まえるとすごくすごく難しいことです。
私などは、当局はよくそんなギャンブルをするなあと思います。
ま、鈍感だからギャンブルとも思っていないかもしれないですけどね。
柴田作品の賞味期限はあとどれくらいなのでしょう。
きっと、柴田作品は効果があるギリギリまで使われ続ける作品なのだろうと思います。
そんな当局のやり口が、柴田ファンとしては悲しいです。
それよりも、繰り返し申し上げていますが、柴田先生に新作を。
もう、時がありません。
でも、柴田先生は今のタカラジェンヌをどれくらい知ってるのでしょうか。
新作主義の柴田先生が肝心のタカラジェンヌのことをしっかり見ることが出来ない。
それを思うと、いつも哀しい想いになる桜月夜です。
イントネーションで人と向き合う
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昨日ついに
イタキスが
最終回
ファーストシーズン
セカンドシーズン
全32話
走り抜けました
金ちゃんにもついに
お嫁さんが出来ました
金ちゃんは
関西弁のキャラクターで
自分は名古屋出身なので
非常に難しかった
お芝居の気持ちを保ちつつ
言葉のイントネーションに気を使いながら喋るのは
なかなかの試練だった
完璧な存在の入江くんを
ライバルにすることも…
金ちゃんには
だいぶ鍛えられました(笑)
そして、
キャストの最高の仲間たちにも
会えたし
すごく良かった
監督、スタッフさん
キャストのみんな
全員で作り上げた
イタキス
池沢金之助を演じさせてもらって
本当に良かった
そして、
金ちゃん
おおきに
まだご覧いただけていない皆様も
ぜひDVDなどで
お会いしましょう!
ミュージカルの稽古も始まり
嬉しいご報告も増えまして
感謝を忘れず
1歩、1歩
俳優として
頑張って行きたいと思います
それでは
明日も自分の力を信じて